緑内障とは

緑内障は眼圧のために視神経が障害されて視野が狭くなり、最終的に視力が落ちてしまう病気です。

緑内障は非常に多い病気で、40歳以上で5%、60歳以上では1割以上方が緑内障になっています。

緑内障は日本の失明原因一位となっています。この医療の発達した現代で、なぜ失明してしまうのでしょう。

これは、緑内障の発見には眼科に行かないと分からず、早期や中期では自覚症状がないために、眼科に行くことがないからです。自覚症状が出るのは、人にもよりますが、かなり進行してからです。

また診断されても自覚症状がないために、治療をやめてしまう方が多いのも大きな問題となっています。

しかし、患者様は実際多いのですが、緑内障の失明率はかなり低く、早期に発見して適切に治療を受ければ、生涯、視野と視力を保てる病気です。

ですから、緑内障と診断されたら、症状のあるなしに関わらず、このタイミングで見つかって運が良かったと思って、定期的な通院を継続して下さい。

当院では、初めのうちは、確定診断のため、また治療薬の選択のため、頻回に診察が必要になりますが、点眼薬の選択が確定し、落ち着いた状態に移行したら、基本的には「2ヶ月に1度の診察」をします。その2回に1回(4ヶ月ごと)に視野検査・視神経乳頭検査を行うプログラムになっております。

緑内障は治る病気ではなく、治療は進行を遅らせて、生涯にわたり視機能を保つようにするのが目的です。従って、生涯通院することになります。

ですから、診断されると落ち込むと思いますが、環境を整えてじっくり治療に取り組む心構えが重要です。焦って、生涯設計を変えたりする患者さんがいますが、油断しなければ大丈夫です。落ち着いてくると、「もう何年も自分は全く困った事はなく、眼科ではいつも良いですよと言われ、いつも同じ薬をもらうだけなら、しばらく行かなくても良いかな。悪くなったら行けば良いかな。」という考えが浮かびます。これが失明への第一歩にならないよう検査や治療から脱落しないように、よく病気と治療法のことを知り、私たちと一緒に、今の視野を 死ぬまで維持できるよう頑張っていきましょう。

緑内障の種類

緑内障には大きく分けて「閉塞隅角緑内障」と「開放隅角緑内障」があります。

この二つは、病気の成り立ちも治療方針も、日頃の注意事項も、大きく違いますので、まずご自身の緑内障がどちらのタイプかを知っておくことが大事です。

半日で失明する可能性のある緑内障発作を起こすタイプである「閉塞隅角緑内障」は、基本的にレーザー手術や白内障手術で治療することが多いです。

発作を起こさず長年かけてゆっくり悪化する「開放隅角緑内障」は基本的に目薬の治療から開始します。

緑内障は治療しても視力・視野が元に戻ることはありません

緑内障は、眼圧により網膜にある神経節細胞が死んでいく病気です。死んだ神経を元に戻すことはできませんから、視野を広げることはできません。従って、できるだけ早く発見して、適切な治療を行うことが肝心です。

治療しても、早期ならほとんど進まないこともありますが、末期で見つかる緑内障ほど進行を遅らせることは困難になります。

ですから、自覚症状がないうちに早く食い止めておくことが重要で、たとえ進んでも、生涯、視野と視力を保てたなら治療は成功です。

焦っても、すぐに進行状況は分かりませんから、先を見据えて治療の計画を立てることになります。眼圧が高くないタイプの患者さんは特にじっくり取り組むことが肝心です。

よく患者さんに、「日頃注意することが、何かありますか」と聞かれます。嗜好品や運動も特に問題ありません。軽い有酸素運動は眼圧を下げることがわかってます。

またよく、「目を使ってよいのですか」とも聞かれますが、頭が痛くなるほど目を使っても緑内障は悪化しません。

つまり生活は全く今まで通りでよいということになります。

緑内障の検査について

緑内障の良し悪しは「視野検査」でしかわかりません。

治療の基本は眼圧を下げることですが、眼圧というのは、「緑内障が悪くなろうとする勢い」を示しているに過ぎません。

ですので、「この薬さえあれば診察しなくても大丈夫」ということはあり得ず、「眼圧が下がっているから視野検査をしなくても大丈夫」ともなりません。病気の勢いが弱くても、細胞の死ぬスピードは様々な状況で日々変化していくからです。

日本人の眼圧の正常値は10~21mmHgですが、眼によって耐えられる眼圧が異なるため、ご自身の正常値はこれとは異なることがあります。また、眼圧は1日の中でも4~5ぐらい変動し、冬は高いことが多く、さらに色々な要因で変動するので、実は診察時に一度測ったぐらいでは、その眼の眼圧のことは分かりません。

ですので、確定診断・目標眼圧の設定・点眼薬の選択に数ヶ月を要することもあります。

治療について

閉塞隅角緑内障

緑内障のタイプのひとつである「閉塞隅角緑内障」、もしくはその予備軍である「閉塞隅角症」は、眼の中の水が流れる通路が元々狭いときに眼圧が急に上がる病気です。最も多いのは中高年の遠視の女性です。

閉塞隅角という状態は、たまたま眼科に行かない限り診断できません。もしくは急に眼圧が上昇して、眼が痛くなって霞かすんで頭痛や吐き気がするような、急性緑内障発作になって見つかることがあります。これは夜中に起こる事が多く、痛み止めの薬が効かないので救急車で搬送される事がある発作で、そのまま失明される患者様もいます。

閉塞隅角の場合は、緑内障発作を起こさないようにする「レーザー手術」や「水晶体手術」があります。

診断されたらできるだけ早く、発作を起こさないうちに治療をしましょう。

開放隅角緑内障

一方、開放隅角緑内障は、眼圧を下げることしか治療の方法がありません。視神経の血流を良くする薬や視神経に栄養を与えるような薬やサプリメントが、将来的に緑内障治療薬となる可能性が期待されています。しかし現状では、それらの薬の多くは動物実験レベルに留まり、人間の緑内障患者に対する治療薬としての効果が確認されている薬はありません。

そのために、まずは点眼薬により眼圧下降治療をします。ある程度眼圧を下げる目標を立てるのですが、薬の効果は眼によって異なりますから、追加で2剤、3剤と多くの点眼薬を併用することも多いです。3種類や4種類とたくさんの点眼を続けてもなお視野障害が進行する場合、一時的に飲み薬で眼圧を下げます。

それでもなお眼圧のコントロールができない場合は、レーザー治療や緑内障手術で眼圧を下げることになります。手術は怖いと思われると思いますが、手術は局所麻酔で、小さな傷で済むものも多いです。

当院で行える手術の方法は多種多様です。その都度、よくご説明しますので、納得の上で治療の選択をしていきましょう。

(河井院長は緑内障も専門の一つで、アメリカで2年ほど緑内障新薬開発の研究をしており、現在も、他大学の眼科医が院長の緑内障手術を見学に来たり、日々若手医師にレクチャーしたり、講演会で講演したりしております。)

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